メンバーコラム
スタッフのバイクライフ
2011-12-11
No.01 トライアンフ ストリートトリプルRを色々レポート その1
大型免許が手軽に取得できるようになって、リッターバイクを乗るライダーが多くなっていることで想うのですが、大排気量でハイパワー、車輌が大きく重くなれば自ずと高速道路や国道を優先して、狭い道を避ける事になり4輪感覚的な使い方、楽しみ方となりバイク本来の魅力や楽しみ方から遠ざかっているように思います。
バイク本来の楽しみ方を考える中、コンパクトでパワフルにポジションも程良く、ワインディングからツーリングまで楽しめる、そんな一台としてトライアンフのストリートトリプルRを試乗車に選んでいます。
今回試乗車のストリートトリプルRをヘッドライトが丸目から異形五角形の新型トリプルRに変更しました。顔が丸目から異形五角形に変わり精悍さを感じます。丸目の旧型と同様にナラシを終えて初期メンテナンスを施しながら、丸目の旧型で蓄積したノウハウを新型にフィードバックしてより楽しめる仕様に仕上がっていく経過を新型と旧型双方合わせてメンテナンスやツーリング等をレポートで紹介していきます。
トリプルエンジンは、タイガー955iからが始まりで、試乗車としてはスプリントST・タイガー1050からです。エンジンをはじめ各部にメンテナンスを施しながらツーリングにも使い、コンディションが整っていく過程も楽しみながらメンテナンスデータを蓄積してきました。エンジンコンディションを整えればインジェクションでありながらキャブに近いフィーリングで扱いやすく、其々に特性はありますが、どちらもフラットな特性で気持ち好くツーリングを楽しめるバイクだと思いました。
試乗車で使う車両は総て、ナラシの1,000Kmほど走ったところで、エンジンメンテナンスを必ず実施しています。メーカー出荷状態でただ登録をしてナンバーを取り付けるだけでは、其々の車両の良さや楽しみ方を知ることはできません。
メンテナンスを施すと必ず、メンテナンスデータの数値より大きくかけ離れた個所が、何ヶ所か必ず見つかります。それらを整えることにより、ストリートトリプルRの場合、排気音は太く力強い音色に変わり、走らせてみると低速から全域にわたりトルクも太くなり、スムーズで曲がりやすく、乗り易くなってきます。
足回りやマフラー交換をすることより、スタンダードの本来のポテンシャルを体感することが大切なことだと、新しい試乗車のメンテナンスを行った後のツーリングではいつも思うことです。
10数年前の私は、マフラーは勿論の事サスやカムシャフトを変え、キャブレターを変え、ブレーキやらその他諸々のパーツを取り付けて、タイヤは定番のハイグリップをチョイスして、とても満足して楽しんでいた時代があります。その頃から社長に「お前は、ライディングもメンテナンスもテクニシャンだなぁ~」と言われて、何のことやら・・・?と思っていました。スタンダードをきっちりとメンテナンス出来てメンテナンス後の違いを判るようになりました。
わずかな違いでも強く実感できるようになり始めたきっかけは、細川君同様にトレッキングごっこをやり始めてからです。其々の車両の特性が解りはじめてから、少しずつ「テクニシャン」の意味が解ってきました。要するにスタンダードのトータルバランスを高めた良さも理解できないのに、トータルバランスを崩しながらトップスピードとかパワーを求めてアンバランスで自己満足的にバイクを楽しんでいたんだと思います。
NWJCでは「ライダーの目線とメカニックの感性」を大切にしています。一人のツーリングライダーでありメカニックとして、メーカー出荷状態の車両のコンディションを整える過程に於いてツーリングに出掛ける度に改めて思うことは、メンテナンスを加えることにより気持ちよく楽しくライディングできるという事です。
新車時にコンディションを整えていても走行距離が伸びてくるとやはりメンテナンスを行い、コンディションを整える必要があります。距離が伸びてきた車両で、何となくシックリとこないとか何となく乗り難い場合は、車両が古くなったからではなくトータルでバランスが崩れている状態です。ライディングを楽しむためには、10,000Km~15,000Kmで点検時には各部をチェックしてコンディションを整えることをお勧めします。
スプリントSTやタイガー1050より軽く、コンパクトでデイトナ675のカウルレス版は、手軽さとスポーツライクに楽しめますが、どちらかと言えば一般公道でツーリングを楽しむことを前提にストリートトリプル675Rを試乗車として選びました。
丸目のRはカラーがマットであることで、少しの擦りキズが付いた場合でも目立つし、補修が手軽にできないこともあり、クリアー塗装を施しました。グレーからシルバーに変えたと思う程に全体の雰囲気が変わり、シャープさを増し精悍で軽快な感じに変わりました。好みもあると思いますが、大切に乗り続けるためには手入れがしやすいことも大切なことだと思います。
最初に乗った第一印象はギア比がショートなのか、ナラシ中でエンジンがまとまっていないのか、ギクシャクして手はしびれるし、舗装の継ぎ目で跳ねてしまうほどサスペンションは硬く感じて私のように体重が軽い軽量級では、タイプRに装備されているプリロードアジャスターやダンパー調整は1Gの設定には欠かせません。ハンドルの切れ角も少なくUターンもやり辛く、とても楽しめるとは思いませんでした。
併し、トリプルエンジンの本来の特性として、低速はツインのように粘り、高回転はマルチのように回りツーリングでも楽しめるバイクであることはスプリントSTやタイガー1050をツーリングで使っていたのでよく判っていましたので、もう少し軽量でコンパクトな中間排気量でリッタークラスにも引けを取らないパワフルさでスポーツ性の高い675ストリートトリプルRをワインディングからツーリングまで幅広く楽しめる仕様に仕立てることが始まりでした。
丸目675ストリートトリプルRは、1,000Kmほど走行後、エンジンコンディションを整えて、硬めに感じる足回りのリンク類に特製EPLグリスをグリスUPして、前後のスプリングのプリロード等を変更し、シートバックと振り分けバックを装着して、夕方から山口県柳井方面へ往復1,300KmほどのツーリングにHONDA CB400SBとBMW R100RTの3台で出掛けました。
北店の細川君は、BMW F800Rと信州方面へツーリングに行ってからは、中間排気量のCB400SBもお気に入りの様で、CB400SBの各部を見直してのチェックと、ストリートトリプルRとの比較試乗も兼ねての参加でした。
社長のリッタークラスでのお気に入りは、BMWのOHVもその一つで、今回はBMW R100RTにタンデムで参加です。余談ですが、R100RTはシートフレームを補強してトップケースを装着しサイドのパニアケースはBMW純正を取っ払って、ダール製の大型アルミパニアケースを装着してリアサスはWPの強化タイプに変更して随所に手を加えて、OHV R100RTをタンデムでも楽しめる仕様に仕立てる途中経過を確認しているようでした。
社長が何故旧いOHVにこだわって、手放さず楽しんでいるのか、何度か聞いたことがあるのですが、答えはいつも「推して知るべし!」の一言で、多くを話しません。15~16年前から、BMWの新型の試乗車を駆って年2回も3回も北海度や九州方面への長距離ツーリングや日帰りツーリングを頻繁に繰り返して、色々なデーターを蓄積していたのですが、6~7年ほど前からは、以前からツーリングで楽しんでいた旧いOHVしか乗らなくなってきて、現行のBMWでは2年ほど前にF800GSで林道へ走りに行ったのが最後ではないかと思います。
以前ならBigオフと言えばGSと思われるでしょうが、何と!トライアンフ スクランブラーで林道も含むツーリングへ行くほうが多かったように思います。よく判らないところですが・・・?
話を丸目ストリートトリプルRに戻しまして・・・。行きの高速はドシャ降りでしたが、コンディションを整えたストリートトリプルRは常用速度+αでも快調に走行することができました。二日目は日本海側に出てワインディングを走りつないで走りましたが、ワインディングを走っているときは、吸気音が気持ちよくて、エンジンを回しながらクロスミッションを頻繁にシフトしながら走る面白さと、エンジンコンディションが整いつつあることにより低速トルクも出てきたので、6速にシフトUPすれば後はオートマチックのように走れてしまう程に、楽々と軽快に走ることが出来る二つのパターンを楽しむことが出来ました。
ポジションに関しては、ハンドル幅は広いのですが、ハンドルからシートまでが近いのであまり苦にはなりませんでしたが、もう少しハンドル位置を上げれば更に長距離が快適になると思いました。
丸目ストリートトリプルRを二日間ツーリングして感じたことは、工場出荷状態にナンバーを取り付けただけの状態なら、長い距離を乗りたい車両だとは思えません。ナラシも含みトリプルエンジンや足回りのコンディションを整えつつあることや、社長よりタイヤの選択も大きく影響することを聞き、北店の細川君が担当しているCB400SBで良い結果を得ているツーリング志向のタイヤをストリートトリプルRにチョイスしたこともトータルで、長距離ツーリングやワインディングを楽しめる結果が出はじめたと思います。やはりコンディションが整ったバイクでのツーリングは最高です。
その後、ツーリングを繰り返して、各部を見直し、ハンドル位置を変えてポジションも変更したりして更にツーリング等で乗り易く仕上げていく途中でしたが、新型のトリプルRへと変更しました。蓄積しているデーターやノウハウは、当然ですが新型のタイプRにフィードバックしながら更に楽しめるツーリング仕様を目指しています。
レポート 高田 明
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