メンバーコラム
スタッフのバイクライフ
2014-11-19
No.25 NC700XとNC750Xを比較して能登を走る
定休日の月曜日に社長と、NC700XとNC750Xの2台をツーリングで走らせて、NC750Xの各部をチェックして、試乗車のNC700X NWJCコンプリートと乗り比べて、どのように変わったかを700Kmほど走らせて比較してきました。
今回使用のNC750Xは、長年CB1300SFに乗り定期的に北海道ツーリング等も楽しんでいる、社長と旧知の間柄でHONDAカーズに勤務するバイク仲間のH氏の車両です。
H氏曰く、最近は取り回しが重く感じるようになり、もう少し手軽に楽しめるバイクに乗り換えたい。とのことでしたから、CB1300に比べると、軽量なNC750Xへの乗り換えを薦めて代替えとなりました。
NC750Xのフロントサスに違和感
NC750Xの慣らしが終わり少しハードに走らせると、NC750Xの足回りでは頼りない感じを覚えられたようで、フロントサスは腰が無く柔らかく底突きするような感じがして乗り難いが、こんなものなのですか?と相談を受けた。
CB1300SFの足回りと比較すれば、すべてに物足りないと感じることは否めない、と社長が自らロングツーロング等で得た体験を語りながら、心地よい走りを得るための提案をしていた。
試乗車のNC700Xもフロントの足回りが柔らかく、少しハイペースでワインディングを走ると、ノーマル状態では乗り難さがあったようで、社長は「俺のようなヘボライダーにはとても無理!」と云っていた。
それでもエンジン特性は心地よく走り続けて旅を楽しむには最適だから、足回りを見直し積載性を高めて、誰でもが、心地良く走り続けることを楽しめるNC700X NWJCコンプリートへと刷新した経緯がある。
北海道ツーリングに社長たちとNC750X LDで参加されたバイクショップ可児の小藤さんも、H氏と同じ経験をされたようで、少しハイペースで走らせると、何をやれば良いのか分らなくなるくらい乗り難いと云ってみえました。勿論、小藤さんのNC750X LDもNWJCオリジナル仕様に変更した結果は、ツーリングを満足して楽しむには、NWJCオリジナルの仕様に変更することが必須と大賛成。
NC750Xのフロントサスを変更して各部をチェック
NC750Xに乗るH氏からは、足回りをNWJCオリジナル仕様に変更後にロングで走らせて再チェックしてもらって、快適に走れるよう総てをお任せしたいとの要望があり、試乗車のNC700Xと同じ仕様に足回りを変更して、長距離を走らせて各部をチェックすることになった。
NC750Xの各部をチェックして、試乗車のNC700Xも同時に走らせ乗り比べて、排気量が変わった事により、どのように変わったかを実体験すると同時に、ダール製パニアケースのフィッテイングKitの試作を装着して各部をチェックすることにした。勿論このことはH氏の了解も頂いて実施しています。
ロングツーリングも心地よく楽しめるNC700X NWJCコンプリートは試乗車として北店に展示しているのですが、試乗のみで使われているから本来の調子がでていない、と社長から云われて、少し動かしてからツーリングに出掛けることになりました。
そこでツーリングの前日に90Km程NC700Xを乗ってみました。社長がテストを兼ねてのツーリングで、東北や九州など色々なところを走っていますから、タイヤが摩耗している以外は何ら問題も無く、非常に乗りやすく、これならベテランライダーが重量級のバイクからスケールダウンしても、鼓動感のある走りで心地よくツーリングを楽しめると思いました。
私は試乗車のNC700Xに関しては、エンジンとフロントサスの組み替えや、パニアケース等を装備したツアラー仕様に仕立てる作業を担当した時に何度か試乗しただけで、ロングツーリング等で乗った事がないので何も判りません。でも、700と750では排気量やファイナルレシオ等も違い各部が見直されているようですから、どのように変わっているのか、また、タイガー800とはどの様な違いがあるのか知りたいと思いましたから、ツーリングに行く事が楽しみでした。
楽しみ方は十人十色
社長がNC700Xで私がNC750Xに乗り、高速道で白川郷まで一気に走りました。NC700Xに比べNC750Xは少しトルクが太いかな?鼓動感がはっきりと分る位であまり大きな差を感じることは出来ませんでした。外観は、シートの表皮が違う事と、マフラーの排気口の太さと排気音の違いがはっきりと分る事でしょうか。
白川郷で高速道を降りて、一般道のワインディングではペースが上がると思ったように曲がらない。路面が濡れていることもあり、接地感に乏しく何度か怖い思いをしました。フロンサスペンションを試乗車のNC700Xと同じ仕様にしたのになぜ?
試乗車のNC700Xコンプリートは、ピレリータイヤ スコーピオンのNC用のサイズが市販される以前よりモニターとして使っていましたから、早くから現行のNC750XのOEMとなったピレリータイヤに履き替えています。H氏のNC750XにはD社のタイヤが装着されていましたが、トライアンフ タイガー800にはOEMタイヤにピレリーのスコーピオンが装着されていて、こんな怖い思いは経験したことがありません。
好みもあると思いますが私には合わないと思いました。が、社長は、D社のタイヤは摩耗が少し早いくらいで、何ら問題は無い、問題は君の乗り方では・・?と一言。足回りやエンジンはまだ全体に渋く重いが、これから良くなってくるし、乗り方も色々と試せば気づくことも沢山あるから、そこのところを楽しめとのこと。
靴の履き心地
社長と車両を乗り換えてNWJC NC700Xコプリートでワインディングを走らせると、タイヤが減っているにもかかわらず、NC750Xに勝るとも劣らないエンジンフィーリングと、サスは前後ともしなやかに安定していて、NC750Xよりも軽快にワインディングを楽しめました。タイガー800に比べると、動力性能や足回りは云うまでも無くタイガー800のほうが格段に上ですが、NC700Xの燃費はタイガー800よりリッター/10Km以上も良く、低重心で、乗り易く気負うことなく楽しめる車両だと思いました。
工場出荷時の車両にナンバーを取り付けて、乗れるようにしただけの新車は論外ですが、慣らしが終わり初期メンテナンスを施した走行距離が少ない車両と、メンテナンスを施しコンディションを整えてアタリがでた車両では此処まで違うモノなのかと驚きです。雑誌等のレビューでは、700よりもはるかに良いという記事を目にしましたが、実体験してみると、試乗車のNC700XはNC750Xよりも軽快な走りで楽しめることに驚きでした。
社長から履き馴染んだ靴と、新品の靴では履き心地が違うだろ。どちらが良いかな~?と一言。メンテナンスを施して10,000Kmを超えて充分にアタリの出たベストコンディションの試乗車NC700Xと、今回チェックしたNC750Xでは、滑らかさと云うか、なじみ感と云うのか何かが違う。
鼓動感と太い排気音がベストマッチの750
能登の輪島を過ぎて先端の狼煙で、社長と車両を乗り換えました。景色を眺めたりしてNC750Xを流している時は、NC700Xよりも力強い鼓動感と太い排気音がベストマッチで、気持ちよく走れて「速さより心地良さで走り続ける楽しさ」をテーマにしているNWJCには、ピッタリ当てはまる車両だと思いました。
その他にもNC750Xには良い所が色々ありました。NC700XのABSコンバインドブレーキとは違って、NC750Xのブレーキは、前後が独立して使えるので、ブレーキングはNC750Xの方が断然使いやすい。
メーターもギアポジションが表示されて何速に入っているか判り易く、燃費計も装備されていて初心者には親切設計だと思いました。
シートは、700よりも750の方が断然良い!700は見るからにテカテカして滑りそうな感じで、実際に滑って腰に安定感がないけれど、750のシートは表皮を変更して安定感があり楽でした。
バイク屋としての実体験が何より
能登を満喫して日が暮れる前に帰路につきました。アクセルを開けるタイミングなど乗り方を少し変えると、帰りのワインディングでは更にペースが上がり、乗り難かったNC750Xは気持ち良くバンクして、先行する社長の駆るコンプリートを追いかけながら、ドンドンとペースがあがり、足回りはまだ全体に硬い感じですが、前後のバランスもバッチリで、NC750Xの軽快な走りも楽しめました。
NC700Xに乗る社長は更にドンドンと先行して行く。村田さん同様に、脳内に何か怪しげなものが分泌されているようでした。
帰りは、五箇山で日暮れを迎えると同時に北陸道にのりました。荘川の温度計は2度を表示していましたが、NC700・750X用のアクセサリーとして設定されているスクリーンは、小さいけれどもフェアリング効果が高く優れもので風切音も小さく、体に風圧を受けることもなく寒いと感じることはありませんでした。
フロントサスをモディファイした状態が、まるでノーマルであるかのように前後のバランスが良く、心地良く走れると云うことは、ノーマル状態ではこんな風に楽しむ事は出来ないのでは・・・?
H氏や小藤さんのようなベテランライダーがスケールダウンした場合、前回ツーリングに出掛けたVTR-Fツアラー仕様と同様に、メンテナンスやモディファイにより、排気量や車格に関わらず、ベテランライダーでも心地良い走りを楽しめる仕様を提供することが、バイク屋NWJCの拘りであることを実感出来ました。
バイク屋はバイクに乗った実体験により、違和感や不満に思う点を改善した経験を蓄積したノウハウをフィードバックして、乗れば乗る程に愛着の持てるバイクを提供することが、バイク屋として何よりだと改めて実感しました。
これから冬に向けて、シーズンオフで冬眠という方もお見えになると思いますが、私は、カブ110NWJCコンプリートで、社長が楽しみにしている雪中ツーリングにも参加したいと思っています。
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