メンバーコラム
バイクは健康療具
2014-11-10
スクランブラー2014仕様 回想録
スクランブラーで秋のロングツーリング
10月中旬、Nakaさんと一緒に、山口から三次を廻るコースを、往路は高速道路を走り、復路は一般道をメインに、スクランブラーに乗ってツーリングを楽しんできた。
山口では高田さんと合流したのだが、往路は個別になった。高田さんはCB1100を駆り、Nakaさんと私はスクランブラーを駆り、山口を目指した。復路は各々の予定で走るため、Nakaさんと私の2人は、一足先に三次を目指しツーリングすることになった。
スクランブラーは、私自身、一番思い入れのある車両なので、私の持っている車両の中では、今年も一番長い距離を走っている。
どうしてスクランブラーに一番思い入れがあるのだろう?今回はそのことについて考えてみようと思う。
スクランブラーの楽しさは格別
「ゴールドウイング」 「カブ110ProNWJCコンプリート」 「BMW R100RS」は、私にとって速さより心地良さで走り続けることが楽しめる車両で、其々、楽しく会話をすることが出来る。スクランブラーとのツーリングは、それ以上の会話を楽しむことが出来て、一番心理的な距離が近い存在である気がする。
(↑ダールのパニアケースを装備しているが、左右の連結バーが装着されていない初期モデル。その後安定性向上の為、連結バーが装備される。ハンドルバーやサスはまだノーマル状態)
一番付き合いが長いと言うこともあるが、スクランブラーに乗り続けることを通じて、よりバイクの楽しさ、面白さを深く味わうことが出来るようになったと言うことが、一番の理由であろう。
(↑オリジナルパーツが少しずつ企画され始めた。ワイドステップと試作のハンドルを装備している。)
私にとって、スクランブラーとのやり取りは、会話をするというよりも、阿吽の呼吸で共に旅をしている相棒のような感じがして、心理的な距離が一番近くにいるバイクだと感じている。
スクランブラーの性格
人間の性格は、根本の性質的なもの、気質と言われるような遺伝的に持って生まれたもの、それに環境的な様々な因子が作用することで形成される。人間の場合は、通常、幼少時には家族から愛情からの躾を受けながら、気質から性格と言われるもの具わるようになる。
(↑パニアケースに連結バーが装備されて、リアーサスはビッチューボを装備していたが、キャンプなどで積載量が増えると安定感が無くなり、リアーサスも本格的に企画され始める)
スクランブラーで言うなら、基本構造による機械的な性質、それに様々な手が加えられる色々な環境で、色々な性格が形成されると言えると思う。
私のスクランブラーの場合、新車から慣らし運転を行って、1,000km点検並びに初回のエンジン調整を受けた状態。この調整を受けた状態が、ノーマル スクランブラーの本来の性格に当たると思う。
(↑25,000Kmでエンジンコンディションを再チェックしてもらう)
ノーマル スクランブラーの性格は、見た目は「自由と束縛から脱出の精神を呼び覚ます」ように見えるが、実際に走らせると、全くの見掛け倒しだと思わせるものだった。身長170cmの私にとっては、ハンドルが遠くて開いている為に乗り難く、900ccもあるのに高速道路の長い上り坂では力の無さを実感し、正直に言うと、長距離を走り続けるのは苦痛であった。
(↑リアサスはWPに換装して、オリジナルのエンジンガードを装備してかなり出来上がった2012仕様)
無骨さは在るのだけれど、素直さと言うか素朴さと言うか、バイクらしさが詰まった魅力があるような気がしていたが、お世辞にも良い性格とは言えなかった。
性格を歪ませない様に
バイクの場合(車も同様)、新車の状態が一番好調な状態だからそれを維持すれば良い、というのは間違いだ。新車と云えども調子は万全ではないと言うことを私はNWJCで教えてもらい、20年以上、総ての車両でその差を体験してきた。しかし、こういうことが未だに一般的な考え方ではないのは残念なことだと思う。
メーカーから出荷された状態の車輛に、道を走るためのナンバープレートを取り付けて乗れる状態した、いわゆる新車状態で、ナラシ運転の目安となる1,000kmで、オイル・オイルフィルター交換と各部の増し締めとチェーンなどのチェックのみで充分だ、という対応が多数派であるようだが、如何なものかと思う。
(↑関東方面のモダンクラシックオーナーとキャンプで親睦を深める)
それでは本来のスクランブラーの性格を垣間見ることすら出来ず、正確に自分とスクランブラーの相性を推し量ることが出来ないと思う。この時点で、スクランブラーがライダーを楽しませてくれるだろうと言う期待感を潰してしまうことにも成りかねないと思う。
成長過程には
この8年間、スクランブラーに乗って色んな所へツーリングに出かけた。その経過の中でスクランブラーの日常メンテナンスによる維持や改善、新車からNWJC2014仕様に至る段階的な進化の過程を一つ一つ実体験することが出来た。そして、スクランブラーと私の心理的な距離は少しずつ縮まって行った。今では相棒と呼べる間柄になっている。
(↑2013年から2014年にかけて、スクランブラーが飛躍的に進化してNWJC2014仕様となる)
このスクランブラーとライダーとしての私の成長過程は、雑誌やインターネットの情報からは決して得ることの出来ない、大変貴重なもので、この成長過程に欠かせないのが、バイク専門店(この場合は、スクランブラーの専門店)であるバイク屋NWJCの存在だ。
ノーマル スクランブラーの性格は、速さよりも心地良さで走り続けるには、少し無理がある性格だったから、2014仕様のスクランブラーに至るまでに、高田さんの実体験をベースとした豊富なノウハウからフィードバックされた多種多様な提案を得た。それに基づいて、ツーリングに出かけているうちに、スクランブラーと共に成長して行ったのだ。
専門家として
精神科専門医として、児童精神医学分野を専攻しているので、発達障害や少し性格に問題を抱えた子供達の療育に携わっている。私は、精神科医が療育を行う中心だとは思っていない。あくまでも中心にいるのは子供自身で、子供の療育には多岐の分野の専門家が携わっているから、療育の進行上必要になる見立てを行うのが、療育に携わる精神科医の仕事だと思っている。
子供の療育で思うのが、子育て支援のコーディネーターの重要性だ。老人介護ではケアマネージャーというコーディネーターの存在が一般化しているが、その他の分野ではまだまだ一般的ではない。バイクも同じことが言えると思う。バイクとライダーの成長を支援するコーディネーターが必要だと思う。
育児雑誌やインターネットの情報では、性格が多種多様な子供達の療育を行うことは不可能だ。雑誌やイイ加減な専門家っぽい人の記事を鵜呑みにすると、育て方を間違ってしまう。実際に子供達や家族と接して、療育現場に足を運び、状況を把握して子育てを支援することが重要なのだ。
私のバイクライフで云えば、スクランブラーが旅の相棒として成長していくのを、専門家として見守ってくれる存在がいることが肝要だと思う。
スクランブラーの場合も性格をカタログ通りに捉えようとすると無理があると思う。カタログデータを基に、慣らし運転を終えただけのスクランブラーに乗っただけで、スクランブラーはこういうバイクだと言うバイク店員さんは、問診票を基に、診察室に入って緊張している状態の子供の姿を見ただけで、その子の性格を総て理解したと勘違いしている医者のようなものだと思う。
大きな病院に勤めているから名医だとは限らないように、バイク専門店という場所にいるからバイクの専門家で頼りになるとは限らない。むしろ頼りになりそうで頼りにならないバイク店員さんのほうが多いので注意してほしいと思う。
高田さんはスクランブラーがお気に入りで、コダワリ病に罹患されつつ実際にツーリングで使いながら、実体験を通じてスクランブラーの性格を熟知した上で、スクランブラーを2014仕様に深化させられた。これはバイクの専門家として、素晴らしい在り方だと思う。
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