メンバーコラム
バイクは健康療具
2017-01-28
平成29年 初乗りツーリング
今年の初乗りは、いつものメンバーでカブ110 NWJCコンプリートに乗って冬の花見に出かけた。本当は、キャンプツーリングに出かける予定だったのだが、残念ながら天候に恵まれず、急遽変更してのツーリングだった。
ツーリング前に集まって
いつものメンバーはツーリング前に、NWJC南店に集まった。全車両がNWJCオリジナルEPL冬季限定オイルに変更し、スタッドレスタイヤを装着するなど、高田さん指導の下でメンテナンスを行った。
車両の色は四車四様だけれど、核となる速さより心地良さで走り続けることが楽しい仕様に変わりはないのだ。
カブ・コンプリートはビッグバイク並みの積載力があるのに手軽にツーリングが楽しめる。長距離を走っても疲れないし燃費も良い。
スペシャルオイルを使用すると、冬場でもエンジンの重さを感じることなく走れるし、スタッドレスタイヤを装着すれば、旅の途中で雪に降られても臆することなく走り続けることが出来る。
日本海を眺めつつ海岸沿いを走ったり、一面に広がる水仙を眺めつつ走ったり、季節的に大型バイクでは躊躇するような九十九折の峠道も走った。
実は雪道を期待してスキー場のすぐ傍を走ったのだが、雪ではなく雨に降られてしまった。それでも余裕をもって走り続ける楽しいツーリングだった。
各々がテーマを持ち、カブ・コンプリートを走らせ、ツーリングを楽しむ。そういうスタイルだから楽しさは格別だ。ソロツーリングでは味わえない、メンバー其々の楽しみ方を尊重しながら、吸収しながら、3~4倍の充実したツーリングを楽しむことが出来た。
ツーリング後の話の中で
カブ・コンプリートで過ごす時間の中身の濃さは、其々が実感している。今回の参加メンバーは皆、トレッキングごっこのメンバーであり、トライアンフ・スクランブラーでも一緒に楽しんでいる仲間である。そのメンバーで去年の5月GWにスクランブラーで今回のツーリングと似たルートを走ったから、スクランブラーとは何処か質の異なるカブ・コンプリートならではの楽しみ方を実感し、バイクライフの質について思うところがあったようだ。
ツーリングの後、キャンプ料理長のNomuくんの淹れてくれたコーヒーを飲みながら、趣味としての上質なバイクライフついて話が弾んだ。精神科医として、とても興味深い話だった。
いつものメンバーとの話を参考にして、バイクライフについて考えてみたいと思う。
上質なバイクライフとは如何いうものなのだろう?
カブとの会話はとても楽しく、今回のツーリングのように7時間乗り続け会話をし続けても、会話の内容を良く覚えているだけではなく、周りの風景を楽しむ余裕がある。
スクランブラーの場合は、より精度の高い反応が求められており、操作に集中している分だけ周りの風景を楽しむ余裕が少ないように思う。しかし、いずれの場合も、充実した楽しい時間を過ごすことが出来る。
楽しいけれど充実していないバイクライフもあるだろう。私自身のバイクライフを振り返ってみると、15年くらい前迄はバイクに乗ることはクルマに乗るよりも凄いことだと思っていた。爽快感があるから乗っているだけで楽しかった。その頃は、バイクに乗るとクルマに乗るよりも疲れるから、凄い体験をして来たと感じ、それだけで充実しているかのように思っていた。
バイクとの会話が出来るようになった現在では、それは間違いで充実していなかったと思うようになった。疲れる体験だったので、凄い体験をしたのだと納得していたが、中身はそれ程濃くはなく、ツーリング道中のことを覚えていない事も多いからだ。
疲れる事と充実している事は、全く別の次元の話だ。そのことに気付かず、漫然とバイクに乗っていると、やがて飽きてしまう。私の経験はそういう感じだった。乗るのに飽きると、バイクという乗り物を所有している、というだけになって空しい思いをしていた。
趣味だからこそ
社会生活を営む上で、趣味に費やせる時間は限られている。その貴重な時間を、如何にして充実させることが出来るのかが、バイクライフを質的に高める上で大切なのだと思うようになった。
1日10時間以上バイクに乗ったから充実していたとか、1日1,000kmバイクで走ったとか、そういうことは量的なものであって体力があれば出来ることで、バイクライフの質的には大したことではないと思うようになった。
思い返せば、そう思えるようになったのは、トレッキングごっこを通じてライダーとしての自分が成長したことが切っ掛けだった。そして、メンテナンスの大切さについて、より深く知り体験できるようになった。
バイク本来の性能を高田さんに引き出してもらい、体感できるようになってくると、バイクに乗ること操ることの意味が変わった。バイクライフの次元が変わり、楽しむが愉しむに変わった。
体験すること、体感すること、体性感覚と、感性と
「僕のバイクはゼッコウチョ-ですよ。すごく気分良く走れますよ。」
高田さん:「あれ?このバイク調子悪いよ。」
「えっ!?」
高田さん:「このバイクに乗ってみやあ。」
「はい。乗せて下さい。」 「あらら・・このバイクの方が・・じゃあ僕のバイクは・・。」 「浮かれていた僕って一体・・・。」
分かった気になって、楽しいぜ!と思っていたところで、それは違うよ!と言われて意気消沈する。自分自身の感覚的な鈍さや曖昧さが露見してしまった。何度もそういう恥ずかしい思いをした。
その代わりに本来の性能を一から体感し直すことが出来た。バイク本来の性能を味わう体験を積み重ねると、虚偽情報に化かされて実体験として感覚を働かせたかのように錯覚していることが分かるようになる。
無意識ながらバイクに乗る質的な向上を求めるようになったのもこういう失敗あってのことだと思う。
ライダーとして成長せず、バイク本来の性能を体験することも体感することもなく、量的なものだけに充実感を感じていたなら・・・。バイクライフはつまらないものだっただろうし、バイクに飽きてしまい、別の趣味を探していたかもしれない。
最新型の車両について思うこと
最新型の電気式デバイスは、バイクと私の間で、会話の通訳をしているように思う。双方の想いをスムーズかつ的確に伝えるようなベテランの通訳ならまだ良いかもしれないが、パソコンの通訳ソフトのように話の流れを無視した単語の翻訳を繰り返されてしまうと、細かなニュアンスは伝えることが出来ない。
会話の内容を歪めてしまうような通訳を介して会話をしたら、中身の濃い内容は決して話すことは出来ない。たとえ1日10時間走っても、バイクとの会話が通じたのは3時間分くらいで、残りの7時間は無意味なやり取りになることもあるだろう。
ベテランと言われるようなライダー達から、最新型のバイクに試乗した時の感想を聞くと、バイクに乗ることを楽しみたいのにバイクに乗っても楽しくない、物足りなさを感じてしまうと言う意見が多い。私もいつものメンバーも同じ意見だ。
Kさんは、2016アフリカツイン(CRF1000)を駆り、河原や林道を駆け抜けることを夢見ていた(インターネットで見るPVはとてもカッコ良い)ので、それを実現する為、練習する為にXR230を高田さんにサスからエンジンにいたるまでバージョンアップしてもらっていた。
しかし、この1年で少しずつCRF1000との心理的な距離が広がってきているようだ。逆にXR230との心理的な距離が縮まり、高田さんのSL230と同じ、欲張りなおっさん仕様へとXR230を深化させることに拍車が掛かっている。
CRF1000のツーリングには不向きな側面が垣間見えてきたところで、CRF1000と仲良くなる為に始めたXR230との会話が、予想以上に弾んでしまって、今までに気付かなかったXR230の性格の良さが見えてきて惚れ直した。と言う感じらしい。
自分の調子が悪いのか、バイクの調子が悪いのか、扱い方が悪いのか、性能が悪いのか、全く分からないのはストレスフルだ。それに引き換え、ベストコンディションに整えられると分かり易くて扱い易いXR230やカブ・コンプリートは、気負わず心地良く走りことが出来てしまう。
私は15年前にSL230に乗ってトレッキングごっこを始めたのだが、10年前にガスガス・パンペーラに乗り換えた。パンペーラは最強のトレッキングマシンでとても良いのだが、心地良く走り続けるには難がある。そう思っていた矢先、極上のXR230を知人から譲り受けることが出来た。
現在、そのXR230を欲張りなおっさん仕様へと少しずつ深化させてもらっている。
私やいつものメンバーのバイクライフは、今年も年初から充実している。
村田 潤哉
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