メンバーコラム
バイクは健康療具
2014-10-10
ゴールドウイング1800で北海道へ
ゴールドウイングで行ってみよう
例年通り9月後半に長距離ツーリングに出かけよう、と思っていたので、少し前から仕事の休みを取っていた。しかし、時期が近づくにつれ、今年は高田さんもいつものメンバーも、各々仕事などで都合が合わず、独りでツーリングに出かけることになった。
9月前半に高田さんがVTRーFを駆り、北海道へ行かれたことに刺激を受けたこともあり、私も北海道へ行こうと思った。2年前の北海道は、Kさんとスクランブラーで出かけたので、今回はゴールドウイング1800(以下GL)で行こう。 そう最終的に決定したのは、出発の三日前だった。
一気に青森まで走り、GLならではの一面を楽しもうかと考えたが、私のGLは走行距離が12,000kmを超えていて、タイヤの溝が少し寂しい状態だったので、北海道まではフェリーに載ることにし、走行距離を短縮することにした。
スタンダードのGLでもすべて良し、と思って乗ればそれなりに安心感もあるが、NWJC南店でメンテナンスを受けている私のGLは、巨大ゆえ苦手とする極低速での扱いやすさは一味違う。
北海道へは、何度もツーリングしているから、綿密な計画は立てず、稚内で宿泊することだけを決めて、後はGL任せで、ブラブラと走り周ろうと思った。
北海道上陸
下船後、小樽港を朝の5時に出発して、宗谷岬に向かって一般道をブラリブラリと北上した。周りを見ると、音の大きなマフラーを装着しているバイクが、相変わらず多かった。早朝から走るには、静かな朝の雰囲気をぶち壊すだけではなく、住民の方にもかなり迷惑をかけて走ることになるから如何なものかと思う。
さて、私のGLは、朝靄の懸かった早朝から走り始めても、力強く静かに、北海道の景色に溶け込んで行くように走り、私のテンションは徐々にUPし眠気は吹き飛んだ。
静かにゆったりと風景に溶け込みつつ走る感覚。道の脇に車両を停めて、写真撮影をしていると、ふと「どこかカブ110 NWJCコンプリートに似た感じがするなぁ。」思った。
巨大なGLの取り回しについて
大型バイクでのツーリングの場合、写真撮影の度に、車両を停める為の取り回しは、400kg超のGLだと、物凄く大変だと思われがちだ。けれど、少しコツを覚えるとGLから降りることはせず、ローギアで前進させて、バックギアで後退させる。上手く使えるようになると、道幅がGLの全長より僅かに広く3mもあれば楽々Uターンも出来るから、物凄く楽に取り回すことが出来るようになる。
この時の前進は、アイドリング状態でクラッチをソッとつなぐだけで、巨大なGLは楽々と動き、バックのときは、斜面でも楽々と動くから驚きだ。だから、チョッと停めて写真撮影しよう、という気になれる。GLって良く出来たバイクだなぁと思う。
GLよりも僅かに車両重量が軽いF6BやF6Cにはバックギアが装備されていないから、取り回しはGLよりも大変であろうと、容易に想像がつく。他にも6気筒1600ccとか巨大なバイクは色々あるけれど、カタログや雑誌、販売店のセルストークだけでは、知ることが出来ない大きな違いは、実際に使って初めて知ることになるから要注意である。
2日走り続けて
1日目は信号の多い都市部をパスする為に、小樽から70~80km程高速道路を使ったが、そこからは、日本海側の黄金岬から太平洋側の西興部まで、あっちこっちと寄り道しながら、稚内まで一般道のみ約670kmを走った。2日目は一般道のみを走って苫小牧東のフェリー乗り場まで約580kmを走った。
GLの走りには、静かに力強く低速でユッタリと走るという面と、高回転まで滑らかに吹け上がるエンジンでスポーツライクに走るという2つの面が存在する。新車状態のまんまでは、半クラッチを当てることも無く、九十九折れの峠道などでは、低速でユッタリとした走りを味わうことは出来ないけれど、コンディションを整えたGLは、その両面を味わうことが出来る。
年齢的な事も影響していると思うが、同じ大型バイクでも、15年前にBMW R1100GSに乗っていた時は、目的地までビューンと走って、次の目的地までビューンと走ることの繰り返しだったが、GLは、ビューンと高速で走ったり、ユッタリと低速で景色を味わいながら走ったり、どちらの面でも心地良く楽しめる。
ライダーはバイクの性格に影響を受ける
北海道では、ワインディングを信号無しで何十kmも走り続けられるので、GLと中身の濃い会話を何十分も何時間も続けることが出来る。だから、たった2日間であってもGLとの距離感をグッと縮めることが出来た。だから、GLの懐が深い性格を少し良く分かった気がした。
バイクと会話を続けていると、いつの間にかライダーである私が、車両の性格から影響を受け、走り方が変わってしまうようだ。ぶらりぶらりと走って停まって楽しめるのは、GLにそういうことを楽しませる性格があるということを私が感じ取ったからだと思う。
同じ大型ツアラーであっても、昔BMW R1100GSでビューンと走るのを繰り返してしまったのは、1100と云えども、旧型のインジェクションだからなのか、低速でゆったり走る事は楽しめず、高速はより高速を求めて、アクセルを戻す事が苦になり、そういう性格を感じ取れなかったからだと思う。しかし、旧型でキャブのBMW R100RSは、低速ではゆったりと走り、速くは無いが高速でスポーツライクに走る、どちらの面も楽しむ事が出来るから不思議だ。
バイクの持つ性格が知らない間に、私のバイクの楽しみ方に影響していたようだ。
GLくらい巨大なバイクは、買ったばかりの頃は全てが新鮮で良いけれど、買って2年も経てば、徐々に心理的な距離が遠くなってしまい、乗るのが億劫になったりする。だから北海道ツーリングのように、一般道を一気に500~600km走る経験は、とても良い経験だと思う。
ぶらりと富良野方面へ
心理的な距離が近くなったGLで走ると、眼の前に拡がる景色に合わせて走ることが楽しめる。そう確信できたので、5速OD1200回転で、悠々と走りながら景色を楽しみ、美瑛・富良野方面へ向かうことにした。
そこでは、高田さんや、NakaさんKさん等いつものメンバーの共通の知人である、北海道在住のD.Sさんと合流することが出来た。
→Nakaさんのブログ『スクランブラーを緊急でもないけどメンテナンス』
私は行き当たりバッタリで目的地を決めていたのだが、Nakaさん経由で美瑛近辺にD.Sさんが居ることを知ったので、Nakaさんに中継してもらって連絡を取り合い、上手く双方の予定を合わせることが出来たのだ。
D.Sさんは、最近バイク乗り始めたばかりで、少し懐かしい感じのするHONDA VRX400を大手量販店で購入したばかりだ。バイクを愉しみたいという強い意欲を持っているようだ。
乗り方やメンテナンスの重要性など、バイクのコンディションの如何によって、バイクライフに大きな違いが有ることなど、私の経験した範囲で話しが出来て良かった。機会があればまた一緒に走りたいと思う。私たちはD.Sさんが素敵なバイクライフが送れるようサポートしたいと思っている。
日本を走るツアラーとして
高田さんはカブコンプリートに乗り、岐阜県から山口県まで走られた時、走行距離は1日平均600~700kmであっただろう。私の今回の北海道ツーリングも似たような走行距離で、高速道路を使わなければ、1日かけて一般道をぶらぶら走る走行距離には、GLとカブコンプリートにそれほど差が無いようだ。
GL は、1830ccの排気量を活かして低回転で静かに力強く走る、カブコンプリートは、110ccエンジン性能をフルに使い切って走る。両極に位置するようだが、どちらも心地よく走り続けることの出来る良さで、日本の道を心地よく旅する道具としては、何処か似ているとツーリングしている時に感じる。
其々のバイクをバイク屋として理解して、バイク乗りとして実感し、メカニックとして良さを引き出して、味を調えた車両は、速さよりも心地良さで走り続ける楽しさがある。北海道の信号がほとんど無い一般道を走り続けることで、対極に位置するGLとカブ110の共通点を知ることが出来た気がする。
先入観に御用心
何等かの意図(販売促進など・・・)を持ってバイク雑誌に書かれているインプレ記事や、バイクに乗らず実体験の無いバイク店員さんの疑似体験話によって「○○というバイクの乗り味はこうだ。」という間違った先入観を植え付けられると、ライダーとバイクの関係はどうなってしまうのだろう。
情報通りの乗り味や使い方を期待しても、全くの期待外れだったら、車両の持っている性格とライダーの性格が上手く合わないと、希望に満ち溢れていたはずの素敵なバイクライフが、理想との違いに悩むストレスフルなバイクライフになってしまい、性格の不一致で分かれることになってしまうのだろうか。
車両とライダーの性格の不一致を、間に入って仲を取り持ってくれるようなバイク屋さんは、実際にバイクを楽しみながら、ライダーの目線とメカニックの目線から的確なアドバイスが出来る、経験豊富なバイク屋さんの存在が必要となる。
私にとってバイク屋NWJC南店はそういう存在だから、私の楽しんでいるバイクは全て走れば走る程に、多くの会話の中から相性の良さを実感して、親しみと信頼のある相棒となっている。
ツーリング後、GLのタイヤおよびオイル交換が待っている。GLと更に仲良くなれるのが楽しみだ。
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