メンバーコラム
バイクは健康療具
2013-06-05
ゴールドウイング1800 適齢期 出雲・山陰編
平成25年5月27日ゴールドウイングに乗って、タイガーエクスプローラーに乗った高田さん、スクランブラーのNakaさん、同じくスクランブラーの野村君、スラクストンのTakeyamackさんと三次で合流し、岐阜まで一緒にツーリングした。
ゴールドウイングでの長距離ツーリングは、細川君のゴールドウイング慣らしツーリングに途中参加して以来、2回目だ。
長距離ツーリングは2回目だが、私のゴールドウイングもキチンと慣らしを終えて、NWJC拘りのエンジン調整を受けた。停止状態から発進した交差点右左折時などの極低速域からでも1800cc400kgの車両がひと回り小さく感じられるほど低速からのトルク感と安定感があり、扱い易くなっている。
平地や市街地では、OD(5速)1500回転でも、ギクシャクもグラグラもせず、どっしりとゆったりと走ることが出来る。出発前にオイル交換や空気圧のチェックなどを済ませて準備もバッチリだ。
皆と合流する前には、学会に参加する為福岡まで高速道路で移動し、学会が終わってから、これまた高速道路で合流地点の三次へ向かった。この道程は、細川君の慣らしツーリングと似ていた。
しかし、エンジン調整+αを施行してもらい本来の性能を発揮し始めた私のゴールドウイングは、さらに快適となり、音楽を聴きながら、時に道路交通情報を聞きながら、全く退屈する事無く、風に煽られて疲れることも無く、目的地に到着することが出来た。さすがスーパー・グランド・ツアラー!という感じだった。
大型ツアラーとしてBMW R1100GSを長く乗っていたが、「高速道路を使って一気に長距離を快適に走れる。」ということではよく似ているようにも思うが、速さもあるが落ち着きもあり、流れに乗ってゆったりと走る事もできる落ち着きが、ゴールドウイングの最大の魅力だ!と思わせるツーリングだった。
さて、ここからが、今回のツーリングのメインルートだ。
岐阜まで約800キロの道のりを、高速道路を走らず、国道や県道などの一般道を走り繋ぐ予定だ。
一緒に走るメンバーは、トライアンフ エクスプローラーのチェックを兼ねつつツーリングを愉しむ高田さん、記紀や神話から太平記など幅広いテーマを持って愉しむいつものメンバーのNakaさん、仕事の都合でなかなか一緒に走れないが本栖湖キャンプツーリングも一緒に行ったキャンプ料理長の野村君、山口での仕事帰りに合流した太平記をテーマにツーリングを始めたTakeyamackさん。彼と長距離ツーリングするのは初めてで、太平記にまつわる史跡を数箇所案内する予定であった。
それぞれ、峠道もワインディングも軽快に走れる車両に乗っており、それぞれにテーマを持って愉しんでいるというメンバーだ。
高田さんやNakaさんとは、スクランブラーに乗って、古事記、出雲神話や太平記を題材としたツーリングで、一緒に訪ね歩いている。古代の歴史を訪ね歩くにはスクランブラーのエンジンフィーリングはとても心地良く、風景にも違和感なく溶け込むところなどまさにモダンクラシックだ。
中国地方には、桜の幹に「天勾践を空しうすること莫れ、 時范蠡無きにしも非ず。」と書き込み後醍醐天皇を励ました。美作院庄にある児島高徳ゆかりの作楽(さくら)神社をはじめ、後醍醐天皇にゆかりの様々な史跡がある。
建武中興十五社会の神社は、ガスガス パンペーラでイーハトーブのツアーに参加した帰りに参加メンバーと別れて東北方面、北畠顕家ゆかりの霊山(りょうぜん)神社から順番に、スクランブラー2台で高田さんと訪ね歩いた。
そういう経過で、中国地方へは何度も走ったことがあるので、今回のコースは良く知っている。広い道もあれば狭い道もある。対向車が来たらどうしよう・・・、と思う道もある。もちろん私のゴールドウイングは、NWJCのメンテナンスが施されバージョンアップした車両だ。新車の時と比べると格段に扱い易くなっている。しかし、スクランブラーであれば、全く問題と思わなかった道でも、この巨大なゴールドウイングに乗って、皆に迷惑をかけず、楽しく走ることが出来るのか?どうなることやら…とゴールドウイングの車格に対する不安があった。
しかし、皆と一緒に走ってみると…、私のゴールドウイングは、只者ではなかった。
ただし、私のライディングの腕が凄いから、というわけではない…。
峠道やワインディングでは、車格に合わせて、ODでゆったり走ることも出来るし、シフトチェンジを繰り返してスポーツすることも出来る。新車の時は、エンジンの滑らかさというか、トルク感というのか、安定感というのか、何かが違ってこんな走りは出来なかった。
あの時だったら半クラッチの連続使用で握力が…となっていただろう。今はギアが何速に入っていようが、どの速度域からでもスムーズに安定感のある走りを楽しめる。とても楽しい。
私のゴールドウイングは見かけによらずキビキビと走ることが出来た。水平対向6気筒エンジンの低重心が成せるところか。雑に扱ってもステップをガリガリと擦りながら走ることが出来る。
しかし、ゴールドウイングは、ハイペースでワインディングを走っても丁寧なアクセル操作と緩やかなラインを描きながら優雅に走らせるべきだ、と高田さんは言う。かなり難しい注文だ。優雅な走りって、こんな感じかな、トライを重ねていくと…。これまた楽しい。
走っている最中に、気が付いたのだが、このツアラーとしての懐の深さは、カブ110NWJCコンプリートに通じるものがある。
「何を言っているんだ。」と思われるかもしれないが、「日本国内を、速さより心地良さで走り続ける」という観点で比べてみると、似ているところがあるのだ。
カブ110NWJCコンプリートで心地良く走っている速度域でも、ゴールドウイングは静かにゆったりとしていて、ストレスを感じる事無く、気持ち良く走り続けることが出来るから不思議だ。信号で停まる時も安定感があるし、ノロノロ運転が、意外と苦にならない性格を持っているからなのだろうか。
トップギアに入れて走る時も(速度域の差はあるけれど)幅広く使うことが出来る。峠道やワインディングでは、ブレーキングとシフトチェンジを繰り返しながらスポーツすることも出来る。エンジンフィーリングは低速から高速まで滑らかで力強いが、暴力的で野蛮なパワーフィーリングとは全く縁のないおおらかさがある。ミッションレシオとファイナルレシオも400Kgを超える巨体を扱いやすく、ジェントルな走りに仕上げている。
一緒に走った、トライアンフタイガーエクスプローラーNWJC仕様は、サイドパニアケースをトライアンフ純正よりも容量の大きいツラーテック製にしているが、純正パニアケースよりもスリムになっている。そのエクスプローラーの36L×2のパニアケースと比べても、ゴールドウイングの方が40L×2とより大きい。併し、横幅はというとゴールドウイングの方がスリムなのだ。
とにかく、日本の道を旅する道具として考えると、ツアラーの雄とされるBMW Motorradをはじめとする外車の大型ツアラーとは何かが違う。市街地、ワインディング、高速道路、全ての交通事情を考えて創り上げられたのだろう実に良くできた乗り物だと思う。
ゴールドウイングのカタログに書かれている「スーパー・グランド・ツアラー」という言葉の意味を少し味わうことが出来た。スーパーなんだから、もっともっと魅力が隠されているに違いない。これからも、このゴールドウイングの魅力を味わうべく、高田さんの云う「ゴールドウイング適齢期」の期間中に時間を作って、北海道から九州まで、日本の道を走り、バイクライフを愉しみ続けたいと思う。
レポート 村田潤哉
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