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メンテナンス

ユーザーボイス

2014-12-31

愛知県 H・Sさん ─タイガー1050/52,332Km─

タイガー1050に乗って来店されたH・Sさんは、半クラッチを多用して発進時は回転を上げないと乗り辛く、アイドリングは不安定でエンストすることもある調子の悪いタイガー1050から代替えを考えて、候補の一つであるスクランブラーの試乗を希望されました。

試乗から戻られたH・Sさんから、タイガー1050に乗り続けるのであれば、調子の悪い状態を治すことが出来るものなのか等、メンテナンスについて疑問に思われていることなどを伺い、車両の状態を大雑把に確認したうえでメンテナンスをすれば走行距離に関わらずコンディションに整えることが出来る旨をお伝えしました。

気持ち良く軽快に走るNWJCスクランブラーに代替えするか、メンテナンスにより調子が良くなるのであればタイガー1050に乗り続けるか良く検討してみたいとのことでした。後日、タイガー1050のメンテナンスを依頼したいと連絡を頂きました。

お客様の要望

アイドリング不安定でバラツキがあり、エンストすることもある。半クラッチを多用しないとエンジンが止まりそうになり、発進時は回転を上げないとエンストしそうになり発進できない等の症状を何とかしたい。


スクランブラーに代替えか或いはメンテナンスして・・・検討の末、コンディションを整えて乗り続けることになったタイガー1050

診断&メンテナンス

車両の状態をチェックするために試乗してみましたが、とてもリッタークラスのバイクとは思えない、低回転での力も粘りも無いエンジンコンディションが、このタイガー1050の状態を如実に表していました。

以前試乗車として使用していたNWJCタイガー1050はイニシャルメンテナンスを施すことにより極低回転域から高回転域まで滑らかにパワフルに吹き上がり、市街地走行でもトップギアーのままアクセルワークだけで楽々流すことの出来た試乗車とは雲泥の差があります。

ザラザラとしたシフトフィーリングにも違和感があり、52,332Kmの走行距離とは関係なく使用されているオイルにも原因があるように思いました。

走行距離も50,000kmを超えているので、まずインジェクタやバルブ周りのカーボンの除去を行い、エンジンを冷却して、バルブクリアランスを測定した後にシム交換を行い、スロットルボディーの調整という手順で作業を開始しました。


タンクを外して燃焼室やバルブ周り、インジェクタのカーボン除去作業から始めます。

バルブクリアランスの測定値は以下の通りでIN側は最大値が4 基準値が2 EX側は6バルブ全てが基準値外とエンジンコンディションの悪さを裏付ける測定値でした。


バルブクリアランス測定中

 INEX
基準値 0.10~0.20 0.20~0.30
測定値No.1 0.20  0.21 0.33  0.34
No.2 0.21  0.20 0.32  0.32
No.3 0.20  0.20 0.34  0.35


カムシャフトを取り外して、シムの厚みを測定して交換するシムを選びます。


シムの厚みを測定してクリアランスの広い所は厚いシムに交換して調整します。


選び出したシムに交換してカムシャフトを取り付けて再度、クリアランスを測定しますから結構手間のかかる作業ですが、エンジンコンディションにはとても重要な作業なのです。

カーボン除去作業を終えて、バルブクリアランス等の調整も終わり、EPL PL500を5%添加したEPL PLO-BMFのエンジンオイルに交換してエンジン調整が終了しました。

アイドリング音はメンテナンス前に比べて低音で太く力強く安定しています。

お客様のインプレ

以前とは比べ物にならない低速域の粘りで、0スタートから左折、Uターン、酷道の急勾配ヘアピンなど腕が上達したかと勘違いするような錯覚を覚えます。

九十九折れのセンターラインの無い峠などをツーリングルートに組み込むことが多いのですが、メンテナンス前は半クラッチを当てないと曲がれないコーナーもメンテナンス後は一速高いギアでも半クラッチを当てることなく曲がれるので楽しいです。

EPL PLO BMFオイルか添加剤のPL500の威力なのか、シフトフィールが別の車両の様に改善されました。それが4,000Kmほど走行した状態でも劣化しないのは驚きです。

エンジンコンディションを整えて頂いたのと併せて乗る度にワクワクホクホクと幸せな気分に浸れます。以前は正直乗り換えも考えていましたが、消し飛びました。(駐車スペースの関係で無理ですがスクランブラーを増車したい・・・)

メンテナンスMEMO

走行距離が延びているエンジンは燃焼室をはじめインジェクタ、吸排気バルブにもカーボンが付着しています。エンジンコンディションが悪く低回転域でトルク感の無い車両の場合は益々悪循環で、大量のカーボンが付着してコンディションが悪くなる一方です。

でもエンジンを分解することなくカーボンを除去することが可能ですが、インジェクタや燃焼室のカーボン除去を最も効率よくするための施工時間や回数などは、排気量、気筒数、空冷、水冷と車種や使用条件によっても大きく異なります。

「アイドリング不安定でバラツキがあり、エンストすることもある」、「半クラッチを多用しないとエンジンが止まりそうになり、発進時は回転を上げないとエンストしそうになり発進できない」等は、イニシャルメンテナンスを施していない車両の場合良く耳にする症状ですが、バルブクリアランスやインジェクタなどエンジンコンディションの良し悪しは、足回りをはじめ総てに大きく影響しています。ライダーのストレスや疲労感にも大きく影響していることは云うまでもありません。

H・Sさんの場合トリプルエンジンの良さを最大限に活かすことの出来るコンディションに整えることにより、長年乗り続けたタイガー1050の魅力を再発見されて嬉しく思います。これからも乗れば乗る程に愛着の湧いてくる1台でありますよう、より良いメンテナンスを提供したいと思います。

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