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バイクレビュー

日本の道を速さより心地良さで走り続ける楽しさや、乗りこなす事より使いこなす事などをテーマに、ライダーの目線とメカニックの感性を融合した独自の観点から、ベストコンディションに仕上げた試乗車を駆って、一般情報にとらわれることの無い楽しみ方や、ライダー達のナマの声を紹介しています。

Thruxton スラクストン

Thruxton基本情報
[排気量] 865cc
トライアンフ空冷モダンクラシック群は、電子制御システムなどが素晴しく発展した今日でも時代に流される事なく、バイクと人の間に電子制御などのハイテク技術が介在することがありません。
あくまでも操る人の感性が第一であるというアナログ回帰したかのようなモノ作りが、スラクストンの魅力です。

私の中でTriumphスラクストンは、「カフェレーサー」であり、「ツアラー」でもある。

私がスラクストンを選んだ理由は、最初は単純に「カッコイイ」から。

元からカフェレーサーのスタイルが好きだったので見た目で選んだ。

納車されてから嬉しくて、楽しくて夢中で走り回り、1000kmの慣らし運転も、あっという間に走り終えてしまった。慣らし終了後の初期点検のとき、エンジンのバルブクリアランス調整やキャブレターの同調をキチっと取ってもらい、オイル交換をして引渡し。

アクセルを回してすぐ気が付いたのがエンジンの滑らかさ。低回転からのトルクが大幅に増して、高回転までスムースに拭け上がり、レッドゾーンまで軽く到達する。そしてキャブレターも同調をキチッっと調整してあるので驚くほど扱いやすく滑らかに走る事ができる。ここで気が付いたのは、やはり出荷状態というのは部品の精度や組付けに、ある程度誤差があり調整作業をすることによって本来の性能を発揮できると言う点だ。

そして、2000km、3000km・・・・と走っていくうちに、スラクストンというバイクの良い点、悪い点が明確になっていき、自分の使いたい用途などもはっきりとしてきた。

ただ単純にプラプラ走るのももちろん楽しいが、私はそのうち「より速く、楽しく、より遠くへ・・・」がテーマになっていった。

スラクストンの欠点の一つである「積載能力の低さ」また長距離を走る上での「ポジションのつらさ」を解消するためにNWJCの高田社長に相談し、ハンドルの変更、ステップの加工などをしていただき、若干アップライトなポジションになりニーグリップもしやすくなった。

そして積載能力を高めるためにパニアケースを付ける為のステーとキャリアを車体に合わせ製作してもらった。それと並行して車体外装も自分の好みにカスタムしていき、カフェレーサーと言えば定番である「ロングタンク」「シングルシート」「フロントスクリーン」など見た目も変わっていった。

只、勘違いして欲しくないのは見た目も重要だけど、見た目だけで選んだわけではなく航続距離を伸ばす為のロングタンクであり、高速巡航性能を上げるためのスクリーンであることだ。あくまで、自分なりのテーマや目的に合わせカスタムしていく事が大事だと思う。

街乗りや近場辺りのツーリングなら、バルブクリアランスなどのエンジン調整が仕上がっていれば十分に楽しめると思う。スラクストンだけじゃなく、Triumphのクラシックシリーズ全般に言えることだが、フレームがとても丁寧に作ってあるのが驚かせられる。パニアステーなどを装着するにしても、補強などなにもなしで十分な強度があるし、溶接の仕上げなども下手な国産よりもキレイなところに驚いた。

この辺りはNWJCにお尋ねになれば、丁寧に回答してもらえるはずだ。

話は戻ってパニアなどを積載できるようになり、行動半径は一気に広がり、それにともない、バイクの楽しみ方の幅も広がった。テントやシュラフなどを積み込みキャンプツーリングに出かける事が可能になり、色々な場所へ行けるようになった。普段パニアなどは、ワンタッチで外せるので、街乗りや近距離は身軽に行動し、キャンプへ行く時はパニアを搭載するだけで旅に出られるようになった。

ただココで、欠点の二つ目が顔を出すようになった。足回り、主にサスペンションがプアな為、重量物を積むとスロットルオフでハンドルが取られたり、高速道路での巡航で不安を感じるようになってしまった・・・・。

そこで、とりあえずソコソコの値段でソコソコの性能というわけで、イタリアB社のリアサスペンションに変更。劇的に良くなった訳ではないが、大分マシにはなったと思ったが・・・・、やはりとういうか、値段なりというか、足回りの不安は完全に消える事はなく、ある程度我慢し走る事にはなった。

しばらく我慢していたが、そのうち本来の目的である「楽しさ」が薄れ始め、コレでは本末転倒だと思い社長に相談すると丁度NWJCとWPの輸入元が、実走行テストなど一年近くの時間を掛けて共同開発していたというフロントスプリングとリアーサスペンションのセットが完成したところで、試しに試乗させてもらう事に・・・・、乗ってみての感想は「すばらしい!!」の一言、お世辞や冗談抜きに。

コレばっかりは体感してもらわないと表現は難しいですが、まず駐車場から道路に出る段差や交差点の右左折で「ん?なんかイイ・・・」と感じ、高速巡航やワインディングでの路面の変化により、不意にやってくるフロントの突き上げに伴うハンドルの振られは、嫌な緊張感を強いられたが、その恐怖感は姿を消し、自分のライディング技術が上がったような錯覚をうけるほど安定して曲がれるようになった。フロントブレーキの効きが格段に向上したようにも思う。話によると、スプリングを交換して油面やプリロードを変更することにより、タイヤの路面への追従性が向上したことによる結果とのこと。

勢いで注文し、装着!!新車で購入して5年目に入ったというのに、納車された時のようなドキドキ、ワクワク感が湧き上がり、走るのが楽しくてしょうがなくなってしまった。

セッティングのアドバイスを受け自分の乗り方などに合わせていき、サスの慣らしが終わったところでフル積載しキャンプツーリングに出発。下道プラプラあり、高速あり、ワインディングあり、峠越えありの往復750kmのツーリングでしたが、足回りに対する不安は見事に消え、本当に楽しく走る事ができた。

確かにWPサスペンションの価格は高い。注文するときドキドキしたのも事実。

だが、実際装着し、この素晴らしさを味わうと、価格の高さを上回る満足感が確かにある。

私の中でTriumph スラクストンは、「カフェレーサー」であり、「ツアラー」でもある。金銭に余裕があれば、長距離はツアラーで峠はSSで、街乗りはネイキッドで・・・など用途に合わせたバイクをその日の気分で使いこなす生活も憧れるが、駐車スペースや金銭問題で現実的には不可能だ。

しかし1台のバイクを自分の用途に合わせ造り込んでいくのは、程度の差はあれども誰でも可能だ。

メンテナンス費用もカスタム費用も1台分ですむし、実際のライディングでもクセも挙動も良く分かっているバイクのほうが乗りこなしやすい。

雑誌などの受け売りで、ワインディングならコレ、長距離はコレと決め付けずに1台のバイクでも十分に複数の楽しみが味わえると思う。こうして「Triumph スラクストン」は1台で林道やオフロード以外の全てをこなすことのできる、かけがえのないバイクになった。

これからも自分の好みに調整しつつ、乗り続けていきたい大切なバイクである。

(レポーター 里見義仁)

Thruxton

Thruxton

Thruxton

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